右側の大腸に憩室が多い理由
右側の大腸に憩室が多い理由
2019/07/06
前にも言いました様に、アメリカ人の腸相は肉食をたくさんとることによって、ふつうS状結腸が非常に硬く狭くなっていて、しかもたくさんの憩室が見られます。一方日本人はアメリカ人に比べて、30歳後半ごろから右側の大腸、すなわち上行結腸から盲腸部にかけて、たくさんの憩室がある人がいます。
アメリカ人に右側の大腸の憩室が少なく、日本人に多いのはなぜかというと、私の長年の経験と観察から、日本人はアメリカ人と比べて精製された穀物、すわなち白米を多く食べる事、またアメリカ人に比べると、日本人の野菜類や果物の取り方が極度に少ないからともいえると思います。
日本では、2・30年前まで虫垂炎の手術、俗にいう盲腸の手術が多かったわけですが、これも当時今と比べると動物蛋白質が極度に少なく、ご飯をたくさん食べる事によって右側の結腸の内腔圧力が上がり、便が虫垂のほうへ押し込まれていたからではないかと思われます。
最近まで右側の結腸憩室症というのは遺伝的なものであるように言われてきましたけれども、これはやはり、白ごはんに白うどんといった精製された大量の穀物を食べる事によって起こるのではないかと考えます。
右側の憩室症はまた、イタリア、スペイン系の人たちで、やはり精製されたパスタとか白パンをたくさん食べる人にも見られます。医学の本には、憩室症というのは、繊維の少ないものをたくさん食べる事によって、腸内の内圧が上がり、憩室ができるという風に描いてあります。
しかし、穀物や野菜などの取り方が少ない人でも、肉の代わりにたくさんの魚介類を食べる人、またチーズやヨーグルトなどの乳製品をたくさん食べる人では、大腸は細く固く、けいれんが強くなりますが、憩室症の発生は少ない様に思われます。
それではなぜ牛肉食の多い人に左側の憩室症、すなわちS状結腸とか下行結腸に憩室が多くなるかということは、はっきりその理由は説明できませんが、多くの人の大腸の検査をしてきた私には、ただ単に動物食を食べ、食物繊維の少ない食べ物を食べる事によって、左側の大腸に憩室の出来る頻度が高くなるという事は、的を得ていない、または間違っている理論の様に思われます。
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