良性ポリープに開腹手術は時代遅れ
良性ポリープに開腹手術は時代遅れ
2018/01/16
いずれにしても重要な事はできるだけ早いうちにポリープやポリープ状の早期がんを発見し、切除してガンの芽を摘み取る事です。良性のポリープであれば、たとえ5~6センチくらいのあまり盛り上がりのない平坦なポリープでも内視鏡(大腸カメラ)で完全に切除する事が容易に可能です。
結腸にできた浸潤がんの場合は、手術的に結腸の一部をガンと共に切り取って、切り取った先端を吻合するという開腹手術が必要になります。
ポリープで開腹手術を勧められた場合は、その必要性を十分納得できるまで説明してもらう事です。2~3センチくらいの大きさで内視鏡切除は腸に穴をあけるかも知れないのでとか、大出血の恐れがあるからという説明の場合は、ほかのより経験のある内視鏡専門医に相談(セカンドオピニオン)して下さい。
ポリープの場所、大腸の状態で手術という事もあり得ますが、全身麻酔で開腹手術を受けるのは容易な事ではありませんし、問題のない良性ポリープを開腹手術するというのは医療過誤にもなりかねません。
大腸ポリープに比べて胃のポリープは対照的です。かなり以前は胃のポリープもがん化するのではないかと恐れられ、ポリープを発見すると、すぐさま胃の切除手術が行われた時代もありました。
けれども25年ほど前から、胃のポリープのガン化は想像以上に少ないことが確認される様になり、さらに最近では胃のポリープはほとんどガン化しないという認識に変わっています。すなわち胃のポリープのほとんどは過形成性といって、一定の大きさまで成長すると、後はあまり変化しないかまたは自然に脱落してしまうと考えられているのです。
それでも実際は胃の中にポリープが発見されれば、生検を取ったり大腸カメラで容易にポリープの切除がおこなわれています。胃のポリープの切除は大腸ポリープに比較すると技術的により簡単にできるのです。
この様に大腸ポリープと胃のポリープとは考え方がまるで違っており、当然ながら胃の場合を大腸に当てはめるわけにはいかないのです。こうしてみると大腸がんの怖さはポリープにあると言えるでしょう。しかしながらこの怖いポリープを撲滅できれば、それは大腸がんの予防に直結するのですから、がん対策の照準はこれに絞られてきたという事が言えます。
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